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【校長メッセージ】2020年度 No,5

「平和を実現する人々は幸いである。その人たちは神の子と呼ばれる」

平和について考える人権学習会では、平和の形が見えてきましたか。実は、昨日紹介された「へいわってどんなこと」この絵本は、2020年「香港ブックプライス」という賞を獲得しています.この賞は、香港で1年間発行された全てのジャンルから9冊だけが選ばれる優れた賞です。なぜ、選ばれたのでしょう。それは現在の香港の状態と深く関係しています。香港では、2014年から、人権を侵害する民主的でない政治に抗議する運動が活発化し、大規模なデモが行なわれ、警察と衝突する事態が起きていました。今年に入り、「国家安全法」制定に反対する人々の抗議活動に対しての逮捕者や多数の身柄の拘束者が出ています。そのような中で1冊の絵本が、作者の制作意図をはるかに超えた力を発揮し、今、人権が奪われようとしている香港の多くの大人たちに広まっています。その理由はこうです。「なぜ、大人たちが、体をはってでも抗議行動を起こしているかを、子ども達に伝えるため」だそうです。大人たちの立派な姿勢です。

人権が脅かされる、人権がないがしろにされる社会の未来にある姿は、最も大事にしなければならない命ですら罪悪感なしに奪われる社会であることを私たちは知らなければなりません。また、伝えなければなりません。その思いが今海を越えて、1冊の絵本に託されています。「へいわってどんなこと」この絵本のメッセージの奥深さに私たちは気づかなければならないと思います。

ところで、私が描く平和の形は、人間が生きるために必要な権利、人権が脅かされないことです。

お腹がすいたら、誰でもご飯が食べられることも、友達と一緒に勉強することも、大好きな歌を歌い、演奏することも、人とは違う自分の意見を言い、気持ちを伝えたりすることも、ぐっすり寝ることも、好きな仕事に就くことも、おしゃれをすることも、人を愛することも、そして自分を慈しむことも、国家や他人が認め、当たり前にできることです。

つまり、この世に生まれてきた全ての人が、等しく大切にされるということです。

戦争はこれが許されない状態になることです。

ところが、「へいわってどんなこと」この絵本をみなさんに読んで、考えて欲しいと願わなければならないということは、残念ですが、私たちが暮らしているこの社会には、まだまだ平和とは言えない状態があると言うことです。人権が脅かされていることに抗議の声を上げている事例はたくさんあります。黒人差別に抗議した大坂なおみさんの行動は記憶が新しいでしょう。性暴力被害訴訟を闘うジャーナリストの伊藤詩織さん、森友問題公文書改ざん事件の真相を求めて国を相手に訴訟を起こした赤木雅子さんたち女性は、いずれも、人が大切にされない社会への抗議行動です。それは、私たちが、平和に暮らすために考えなければならない問題提起です。浜田先生のメッセージの中に、「一人の力は自分が思っているより大きい」といわれています。まさに彼女たちの姿です。平和を実現するためには、あなた自身がどんな行動をとるかが大切です。また、「コップの中とコップの外の連動」という浜田先生のメッセージも私たちは肝に銘じなければなりません。社会の動きが、自分の幸せ実現と直接かかわらないなんて思っていたとしたら大きな間違いだと気づくことです。この学校は、キリスト教の教えの中の取り分け、愛と平和を大切にする使命があります。みなさんが、そのミッションを心に留めて、行動できる女性として育って欲しいと願っています。「命より大切なものは何ひとつない」このメッセージを色紙に書いてくださいました。絵本に込めた浜田先生の思いを振り返り、平和のために力を尽くせるよう黙祷しましょう

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