新入生234名を迎え,全校生680名で2021年度がスタートです。
コロナ感染が拡大する中で、今日が迎えられたことを、先ず、感謝し、喜び合いたいと思います。
さて、今年度の聖句は「愛を身につけなさい。愛は全てを完成させるきずなです。」に決まりました。世界中がコロナ感染という困難に向き合っている状態にあって、何が大切かを教える聖句です。また、人種や性別や思想や貧富の違いを持って、差別や偏見の言動が横行している現在において、進むべき道を示す聖句です。
今後1年間あらゆる場面で、繰り返し伝えられる聖句ですから、この聖句について考えてみましょう。
みなさんは、愛という行為の真逆にある行為は何だと思いますか?
マザーテレサはこういっています。「愛の反対は、憎しみではなく無関心です。」これを物語るエピソードとして思い起こされることとして、10年前の今日の出来事があります。
高校3年生になったばかりの生徒2人が、教員室にやってきて、こういったのです。「3.11を忘れない」「被災地を忘れない」ことを伝え続ける活動をさせてください。」と。そのバトンは10年後の今に受け継がれ被災地を応援する活動が続いています。このように被災地応援に限らず、何事に対してでも無関心を決め込まずに、関心を寄せる気持ちや行動が愛なのです。
「どんなに小さなことも、大きな愛を持って行ないましょう」とマザーテレサは呼びかけ、自らはインドにおいて、無関心にさらされながら、家も家族も生きがいも奪われた人々と共に生きる道を選択しました。その彼女が、こうも言いました。「多くの人は愛に、小さな微笑に飢えているのです。」と。そして、誰もが愛ある行いをすすめようと促されました。
私はみなさんへのお誕生日カードに、昨年度は「あなたのほほえみが愛をもたらせます。」と記しました。そして、今年度は「あなたの行いに愛が込められますように」と記すことにしました。愛を身につけ、実践することは誰にでもできます。マザーテレサも、「愛はほほ笑むことだけで始まります。」と教えてくれています。
先日、新しいステージに身をおくことを決めた生徒がこんなことばを残して去っていきました。彼女の生い立ちも、生活環境も、私の想像をはるかに超える大変なものです。だから彼女は入学当時から、生きることに自信がないといいました。助けてくれる人がいないといいました。私なんて生きる価値がないとまで言いました。そんな彼女が「助けてくれる人がたくさんいる事が分かった。だから、どんな環境にあっても生きていけると思えるようになった。」といえたのです。それこそが、彼女の周囲で彼女を支え、励ましたこの学校のクラスメートや先生方です。「愛は全てを完成させるきずなです。」彼女の心に、人と人との関係性についての絆を結んだのです。支え合い・助け合いの行動は、愛であり、絆を結ぶ源です。
この学校に在籍する全ての生徒が、困難な社会状況の中で「愛ある人」としての行いをして欲しいと願い、新年度の挨拶とします。