ようこそ。平安女学院へ。みなさんの入学を私たち教職員一同は楽しみにしていました。
保護者のみなさま、お子様の成長にとって大切な時期の教育を本校に委ねていただき感謝申し上げます。
新入生のみなさん、あなたは今から始まる学校生活に何を望んでいますか。
保護者の方々はお子さんにどんな学校生活を送って欲しいと願われていますでしょうか。
私どもは、生徒の望みを実現できる学校でありたいと思っています。
そんな学校を生徒と保護者と教職員が手を携えて作っていきたいと考えています。
さて、私は、学校での学びは、「自分自身の生き方を問い続けること」だと思っています。何が大切なのか。何が正しいのか。何を幸福と思えるのか、豊かさとはどういうことか。
などたくさんの問いを自分に投げかけ、答えを導き出す力を養う学びだと思うのです。
しかし、この学習は決して容易いものではないのが今の時代です。
1000年に一度と言われる自然災害や、100年に1度と言われるパンデミックに見舞われる中で、人々の価値観に大きな変化が生まれたからです。経済や産業の発展こそが人類の幸福だと信じて疑わなかった人たちが、自然環境を守る生活への転換こそが重要であるとの認識を持つようになり、地球の未来を案じて、物事を考える視点に転換してきています。
価値観の変化は、全人類で解決しなければならないとされる問題提起にも反映されています。それが、国連が全世界の人々に示しているSDGsの実現です。
新しい価値観を形成する時代をみなさんは生きていくのです。そのためにぜひ、身につけて欲しい力があります。本校が考えた力とは、
1つ目は、自分を愛する力です。あなたが生きている限り、あなたはあなたと共に過ごします。自分自身を宝物として大切にしなければなりません。自分を大切にする力は人を大切にする力に通じます。
2つ目は、あなた以外の人々とつながる力です。そのためには、多様な人々の様々な気持ちを分かち合える力が必要です。同時に、気持ちを伝えあえる力が必要です。
これらの力を本校では「3つの力」と言います。「自尊感情」「共感力」「対話力」です。
みなさんには、学校生活のあらゆる場面で、この「3つの力」を身につけるよう願っています。
そして、すでに誰かによって作られた「生き方」の道を選択して歩むのではなく、新しい道を見出すのです。自分の人生をどう生きていきたいのか。それを真剣に考え始めた時から、あなたは、子どもから大人への階段を上り始めます。考えるのは早ければ早いほどよいのです。新しい時代に見合う新しいあなたの道を。その道を歩める人として成長を遂げられることを願い、応援することを約束し、私からのメッセージとします。
2023年4月7日