2020年という年が終わろうとしています。この1年を振り返れば、コロナがこれほどまでに私たちのあらゆる生活分野に予想をはるかに超える影響を与えていることに驚かされるばかりです。学校教育分野は皆さんが知っている通りです。家族の様子から企業活動や社会活動の変化も知っての通りです。この状態が1年間続いている中で、従来の考え方が通用しないこともあらゆる場面で感じ、物事の試行錯誤が続いています。来る2021年の年明けもコロナ感染を気にしながらの日常となります。
ところで、このコロナをめぐり、政治を身近に感じたはずです。
突然出された学校一斉休校・全国民に配布されたマスクに10万円。Go Toトラベルなど一連の経済政策など政府や自治体の施策が、私たちのくらしに直結している実感を得たでしょう。
また、コロナのような事態は、例外なく誰もが困難な状況に置かれる事も分かりました。
そんな時は、お互いに助け合い、支え合わなければならないことを目の当たりにしました。
中学生徒会が、医療関係者に手作り感染防止着を送ったこと、コロナ禍で食べ物に困る人々の急増に対して中学1年生の呼びかけに応え大量の食品が届けられたことも支えあう姿です。つまり、「困っている人を見捨てない行動」です。
「困っている人を見捨てない行動」は、コロナに限らず今年もいくつもありました。
スポーツ選手の行動を思い起こしてみれば、まず、世界の人々に感動と勇気を与えた大坂なおみさんの7枚のマスクによる、人種差別の抗議です。彼女の「私はアスリートである前に、一人の黒人の女性です。」というメッセージは、生き方として大切なことを示しました。
NBAの八村塁プロバスケットボール選手の黒人差別撤廃を訴えるデモ行進参加もありました。「ブラック・ライヴズ・マター」と記されたTシャツの文字と、「私たちはともに困難に立ち向かう」と書かれた横断幕を掲げ行進する彼らの姿は輝いて見えました。
今年に限らず、若い世代の人たちが、社会問題に関心を寄せている現実を見聞きすると、私はほっとします。社会問題を決して他人事にすることなく、解決に向けての声を上げている姿は、未来の社会に希望の光が見え、政治に無関心な大人の姿が情けなく見えます。
今日は、本校でも新しい動きが始まる日です。中学・高校生徒会代表と、保護者会代表と教職員代表の三者が対等平等の関係で学内外のさまざまな問題についての意見交換や協議を行なう三者協議会が高校生都会の提案によりスタートします。三者協議会で話されたことは、おいおいみなさんにも伝えられます。
最後に高校3年生が頑張って仕上げてくれたカンタータのDVDが、一昨日被災地に届けられました。暖かな歌声はきっと多くの困難を抱えながら励んでおられる被災地の方々の癒しとなることでしょう。
2021年が平和で幸せな年になるよう、与えられた命を生かして、私たちができることをしていきましょう。そして、新学期に元気で会えることを願っています。