卒業生の皆さん卒業おめでとうございます。
保護者の皆様には、お子様の晴れの姿を直接ご覧いただけない状況ではありますが、この場よりお子様のご卒業を心からお祝い申し上げます。
さて、卒業生の皆さんにお話しする機会も今日で終わりになりました。振り返れば、あなた方に届けてきたメッセージは数々ありました。入学時点には「この世に望まれて生まれてきたあなたは、大切な存在です。」という自尊感情を育むことをお願いしました。その意味を真摯に受け止め苦悩しながら自尊感情を獲得できたあなたが今、ここにいます。また、「あなたに与えられた賜物ギフトを他人のために役立ててください。」というメッセージも伝えました。それに応えて困っている方々に優しい行いを届けてくれたあなたも今ここにいます。そして、「あなた自身の賜物を自覚し、それを磨きましょう。」とも伝えました。このメッセージには、みなさんがそれぞれのステージで大いに励みました。
このように皆さん一人ひとりの目を見張る成長は、私たち教職員の喜びとなりました。
みなさんありがとう。
そして今、母校を旅立つあなたに最後のメッセージを伝えます。
あなたがこれから生きていく社会は、困難な問題が山積しています。それら問題の多くが地球規模で解決が求められるものです。この間のコロナウイルスによるパンデミックは、そのことを、私たちに十分知らしめました。自然環境の破壊は温暖化をはじめ生態系の破壊を招いています。無秩序な経済活動は貧困を拡大しています。女性差別を始め不条理な人権侵害は生命や生存の危機にもつながっています。テロや紛争も起きています。いずれも対策が急がれています。国連はそのリミットを2030年に設定し解決への取り組みを呼び掛けています。
ところで、これらの問題を解決する基盤となるものは何だと思いますか。
私は「愛の実践と平和の実現」だと思っています。愛も平和も、与えられるものではなく、努力して作るものです。今年のバースディカードに私は「あなたの微笑みが愛をもたらせます。」と記しました。それは愛を育む日々の努力をお願いしたのです。みなさんは大切なものほど脆いということを知っていますね。しかし、あなたが持っている力は非力とはいえ、無力ではないことも知っていますね。これを心に刻んで、「愛と平和のために行動できる主権者」として生きてください。生きたくても生きられなかった友の分まで生きてください。
これが私からのあなたに贈る最後のメッセージです。