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【校長メッセージ】2023年度 始業式 あいさつ (3学期)

みなさん心身ともに健やかに始業式に臨むことができていますか。

新しい2024年を迎えた元旦に、能登半島を震源とする震度7の大地震と津波が日本海側を襲って多数の犠牲者を出し、今も多くの行方不明者の捜索活動が行われています。まず被災で亡くなられた方のご冥福をお祈りいたしましょう。そして悲しみと不安な日々を送られている方々に希望の兆しが感じられる1年になるようにと願わずにいられません。私は石川県金沢市の出身ですから、甚大な被害に見舞われた能登の各地は馴染み深く友人も卒業生・転校生もいます。「能登は優しや土までも」と言われる土地柄は、助け合いながら生活を営む人々の情の深さを物語っています。従って200棟余りが焼失した輪島朝市通りは帰省するたびに訪れるほど心和む場所でした。能登に限らず、被災地北陸の寒さは半端でありません。この寒さの中で過ごしている被災者の方々を思うと、新年とはいえ「おめでとう」の言葉が発し辛いです。今回に限らず、困難な時だからこそ、希望と未来を語らなくてはならないと思うのですが。

さて、3学期という学年の締めくくりであり、新たなステージに向かう準備の学期に、「知ること」と「分かること」についてお話したいと思います。

ところで、教師と生徒間でよく使う言葉ランキング1位は何だと思いますか。私が推測するところでは「知っていますか」「知りません」「分かりますか」「分かりません」「分かりました」じゃないかと思うのです。そこで、「知ること」「分かること」について考えてみました。

 私たちの生きる現代社会は、情報化社会と呼ばれています。本当にたくさんの情報があふれていて、その気になれば、知らないことを知ることはたやすい訳です。SNSを使えば瞬時に知らないことを言葉で教えてくれます。従って最近の小学生など子供の話しぶりは、「なんでやねん」と突っ込みを入れたくなるほど大人顔負けの、言葉の豊富さと使い分けに驚かされます。言葉が豊富なのは考える道具が多いのですからそれはいいことではありますが、言葉で表している内容が、正しく分かっているのかと言えば必ずしもそうとは限りません。「知る」ことは、今までの自分の物の見方や考え方が変わるということです。では、「分かるということ」はどういうことでしょうか。五感や体験で知った情報や知識が身に付き、共感することができるという事です。言葉だけに捉われると見失うものがある。知識を獲得しただけでは、「分かったこと」にならないということです。知ることも分かることも共に学習に基づきます。学習とは身体を伴って分かるということのようです。

そこで、話を最初に戻します。1月2日に、一昨年3月に卒業し平安女学院大学に進学した卒業生から来たメールとみなさんへのメッセージを紹介します。「千和世先生夜分に失礼します。あけましておめでとうございます。ところで、令和6年能登半島地震のボランティア活動を中高でされる予定はありませんか。あれば私も協力させていただきたいと思い連絡しました。」翌日彼女から後輩のみなさんに向けてのメッセージが届きました。式後担任の先生に教室に掲示してもらいますが一部を紹介します。「困まっている人がいたら行動でねがいを伝えましょう。被災者の方の力になりたい。安心して欲しいという願いは行動を起こすことで伝わります。一緒に行動して少しでも被災者の心の支えになりませんか。」というものです。彼女は知識を理解に転換させ、行動力に繋げる学習を成し遂げる学習者だと思います。みなさんにもそんな学習者に育ってほしいことを始業式にあたり伝えます。では、戦火や災害などあらゆる苦しみの中で必死に生きようとする人々に思いを寄せながら黙祷をもってお話を閉じます。

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