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【校長メッセージ】2021年度 終業式 あいさつ (3学期)

おはようございます。
日本から8200Km離れた地で今この瞬間も戦闘が続いています。今朝のニュースによれば、35時間の外出禁止令が出され、戦争開始以来最大の危機的状態だと言われています。
負傷した人の姿・破壊された町の映像がリアルタイムで茶の間に届いてきます。それを見て、中学1年生が「募金をして、戦場の子どもたちを支援したいと思いますがいいですか」と言ってきました。早速高校生にその声を届けると、「募金が武器に代わることがあるから送り先をよく検討したい」と意見を述べ話し合いを通じて募金先が決まり募金活動が始まっています。11年前の東日本大震災の被害を連日の報道で見て「私たちで出来ることを何かしたい」と相談に来た時と同じです。平安女学院の生徒たちの思いやりと行動力が息づいていることの素晴らしさにとてもうれしく思います。

ところで、私がウクライナという場所を知ったのが高校2年生の時でした。その年に上映された映画「ひまわり」の舞台だったためです。第二次世界大戦で引き裂かれた夫婦の物語です。戦場に行ったまま帰らぬ夫を探しに行き、広大なひまわり畑にたどり着きます。戦場だったひまわり畑で、戦争の残虐さとひまわりの美しさが対照的に描かれた場面は50年が過ぎた現在でも鮮明な記憶として残っています。
いつの時代のどの地域での戦争でも、また災害でも、常に犠牲は弱き人々に最も大きくのしかかるものなのです。みなさんにはぜひ、戦争が何をもたらすのか、いかに平和がもろいものなのか、平和を作る担い手になるためにはどうあるべきかを、この戦争の実相からも学んでほしいと思います。

さて、今年度も今日で終わりです。1年間の成長を見つめる時です。みなさんは人間の成長が8つの発達段階に分けて、それぞれの段階で獲得すべき力があるという話を知っていますか。その説を唱えるエリクソンによれば、12歳から18歳は5番目の段階にあたり、この段階で獲得する力は、「自分はこういう人間なんだ」と自覚でき、自分らしく生きようとする力だそうです。この力をつける時期に必要なことは、自分の可能性を取捨選択するために、様々なチャレンジをすることです。

さて、成長や発達には個人差があることは言うまでもありません。今まだ「自分は何者かさえ、考えていないわ」とか「自分らしさなんてわからないわ」という人もいるでしょう。そんな人は、自分の成長を確かめる時に「『私らしさはこれ』と語ることができるようになってきただろうか」、そして「私は何にチャレンジしているだろうか」を考えることです。
チャレンジは、動物に本来備わっている力だと思います。それは赤ん坊を観察しているとよくわかります。ハイハイからつかまり立ちして、一人で立って歩くまで何度もひっくり返ったり、頭をぶつけたりします。だからといって歩くのを諦めてしまう赤ん坊なんて見たことありません。失敗して泣いて、失敗しても笑ってまたチャレンジします。その姿は人間の原点だと思います。ところが年を重ねると、かっこ悪いとかなんとか言い訳してチャレンジしなくなる。そのうち自分の可能性がわからなくなる。そして、生きている限り成長しているのに自分の成長に確信が持てなくなる人って結構居るんです。私はみなさんにはそうなって欲しくありません。チャレンジすることに臆病にならず、自分らしさの確立を成し遂げるために果敢に挑戦していく人に成長して欲しいと願います。

さあ、4月からは、学校のシステムがいろいろ変わります。
学校週5日制・クラブ制度の変更・登校時間や、校則など、詳しくは本日開催の三者協議会で生徒会代表に説明します。いずれも意味ある変更です。その意味を理解し、新学期からの学校生活を送ってください。
新学期に、ふたたび元気なあなたに会えることを楽しみにしています。

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