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【校長メッセージ】2022年度 入学式 あいさつ

みなさんご入学おめでとうございます。
中学生48名、高校生146名の新入生を迎え私たち教職員一同は喜びに満ち溢れています。保護者の皆様、お子様のご入学をお祝い申し上げますとともに、思春期の大事な時期の教育を本校に一翼を担わせて下さり心よりお礼申し上げます。

さて、新入生のみなさんは山上憶良という歌人を知っているでしょうか。私は万葉集に収められている「子らを思う歌」が好きです。愛情の複雑さと深さを感じるからです。彼は日常の生活で

「何かにつけても子どもは気がかりで心配な種であり、夜の眠りもままならない」

と詠いながら、それほど心配をかける子どもであっても、この世のどんなものよりも価値ある宝ものであると同時に詠いました。「銀<しろがね>も金<くがね>も玉も何せむにまされる宝子にしかめやも」と。入学に際して、まずみなさんの心に刻んでほしいことは、あなたは何ものにも勝るかけがえのない宝ものだということです。
平安女学院では創立以来、一人ひとりの生徒を大切にすること、愛の実践を教育目標としてきました。

人を大切に大事にすることは、キリストの「愛」の教えに限らず、仏教でも「慈悲」という言葉で人を大切にすることを教えています。つまり、人を大切にするということは、古今東西当たり前のことなのです。しかし、この当たり前の事であっても、私たちはそれを意識して、努力しなければ実現できない事は、社会の出来事を見れば分かります。
同じように戦争のない平和な社会を実現することも不断の努力が必要です。従って本校では、毎朝の礼拝をはじめ、日常の学校生活を通じて「愛」や「平和」について考え、行動できる人になるようにと願って、みなさんの教育を進めています。

ところで、学校生活であなたが「大切にされている」と感じるのはどういう時でしょう。 一昨日、私を訪ねてきた生徒がこう言いました。「A先生は私を大切にしてくれなかった」と。そこで、私は「なぜそう思うの」と問いかけました。彼女は「私の話を聞いてくれないから」と答えました。また、私は「あなたが大切にされたと思うのはどんな時」と聞くと「話を聞いてくれて、私を見守ってくれていると感じたとき」と。そして3時間余り「どんな人になりたいか」「どんな生き方をしたいか」など哲学対話を続けた結果、「A先生は、私だけに関わる時間が取れなかっただけで、私を大切にしなかっ たわけじゃないかもしれない。私はもっと人の立場や気持ちがわかる人になりたい」と言ったのです。

大人でも子どもでも、心が発達・成長するのは右肩あがりの直線グラフのように連続的に上昇していくものではありません。失敗したり、刺激を受けたり、経験することで心が反応し、何かに気づくことによってステップアップする形で成長の階段を上っていきます。先ほどの彼女は自分が大切にされていないと悲しみ苦しんだ経験から、その先生の立場に立ち、もう一度考え直すことができたわけです。つまり成長の階段を1段上ったのです。みなさんもこれから様々な経験を通じて成長していきます。

あなたがたは「神様からの一番美しい贈り物」です。そして、人に希望の光を与えられる「光の子」です。あなたのペースで、あなたらしく成長を遂げ、自分をそして隣人を大切にする人になってください。そのために、私たちは限りないエールを送り続けていくことを約束し、あいさつといたします

2022年4月11日

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