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2023年度 第76回 高等学校卒業証書授与式 あいさつ

卒業生のみなさん卒業おめでとう。

保護者のみなさま、お子様のご卒業をお祝い申し上げます。

はじめにあたり、昨年度の学院の混乱に際して、ご心配をおかけした事心よりお詫び申し上げますとともに、生徒と保護者の皆様が人権を守ろうとした私たち教職員に対し激励下さったことに感謝とお礼を申し上げます。ありがとうございました。

さて、卒業生のみなさん。今日の旅立ちにあたり最後のメッセージを贈ります。

先ず、「どの時代のどんな社会の変化も人の声から生まれた」ということを伝えたいと思います。

それは、あなた方が生きる未来の社会が、希望に満ちた輝かしいものとは言い難いからです。

いま、世界中の人々に未来の社会の在り方が問われています。つまり、このまま自然を破壊する道を突き進んで、分断や孤立化を推し進めるような社会を作るのか。それとも、人々と繋がり、相互に支え合い、連帯や平等を重んじ、自然を大切にする持続可能な社会への転換を図るのか。確かに、近年の気候変動による自然災害の数々、新型コロナウイルスの世界的感染拡大、人々を恐怖に巻き込むテロや戦争・ヘイトなど未来社会の危うさを誰もが感じつつも問いに対する答えを形にするまでに至っていません。しかし、既に答えを出したみなさんと同じZ世代の若者が世界のいたるところで、社会を変えようと必死で声を上げています。危うい未来を、安全安心な未来に変えるためには、あなたの声も必要なのです。「どの時代どんな社会の変化も人の声から生まれた」ことを心にとめて、賢い主権者として、どの人も希望が持てる社会を作ってください。これが一つ目のメッセージです。

二つ目は、「自分の価値観が自分の物語を作る」ということです。つまり、「いかに生きるか」との問いに対して、あなたが「何を大切に感じ考えるか」によって答えが異なるのです。人生の物語は、様々な出来事・想定外の出来事に対して、何を選択するのか、何を決断するのか、何をどのように実行するのかによって物語のストーリーが作られていきます。今後の社会は、選択も決断も実行のいずれもとても難しい時代です。それでも、自分で決めなければならないステージに足を踏み入れることでしか、自分の物語を作ることはできません。そのために、私は何を大切にしたいのかを、しっかりと悩み考えることをおろそかにしないでください。

その上で、あなたと違う価値観を持った他者を理解するための行為・態度を身に付けてください。

私たち教職員は、あなたの未来への責任を担い教育に携わってきました。そして、キリスト教主義学校が大切にしなければならない「愛」と「平和」について、機会あるごとに述べ伝えてきた3年であり6年です。しかし、戦争や憎しみが人々の体や心に何をもたらすのか。平和や命、正義や優しさ、寛容や共感が人々の体と心に何をもたらすのかについては、まだ伝えきれないことがあります。

それでもあなた方は、この平安女学院で、愛や平和について知り得たことがあったはずです。あなた方が、これからの新しいステージで、愛の実践者として平和の作り手として働くことを願い、期待して、

今ここに140名の卒業生を送り出します。

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